EPMAによる高精度元素分析サービス

EPMA(電子線マイクロアナライザ)により、微量・軽元素の高精度な定量分析と元素分布評価を行います。EDSでは難しいピーク分離にも対応可能です。本ページでは、EPMAによる元素分析サービスの概要、特徴、技術事例、設備一覧、報告書例、よくあるご質問、費用・スケジュールをご紹介します。

概要

EPMA(電子線マイクロアナライザ:Electron Probe Micro Analyzer)は、EDS(エネルギー分散型X線分光法:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)では難しいピーク重なりの解消と、微量元素・軽元素の高精度な定量分析を実現する分析手法です。
EDSでは識別が困難な元素も、明確に分離して正確に可視化でき、材料開発から不具合解析まで幅広い用途に対応します。

EPMA外観
EPMA外観

わかること

  • 元素分布の高精度マッピング
  • 微量元素の検出
  • 軽元素(B,C,N,Oなど)の分析
  • 微小領域の組成(定量分析)

主な用途

  • 多層材料不具合部の異物解析
  • 電池界面の材料評価
  • 半導体材料の分析
  • 薄膜の組成評価

対象サンプル例

  • Liイオン電池
  • 半導体デバイス
  • ガラス・セラミックス
  • 多層材料・薄膜
Liイオン電池負極材断面における元素分布マッピング
Liイオン電池負極材断面における元素分布マッピング

電解液成分(F,P)の粒子間隙への侵入や、溶出したCuの再分布・凝集を捉えることで、電池内部で進行する劣化メカニズムを詳細に評価できます。

電解液成分(F, P)の粒子間隙への侵入や、溶出したCuのe再分布・凝集を捉えることで、電池内部で進行する劣化メカニズムを詳細に評価できます。

特徴

EPMA(WDS)とEDS(EDX)の違い

EDSで全体を把握し、EPMAで詳細を詰めることで、効率と精度を両立した分析が可能です。

項目

EDS(EDX)

EPMA(WDS)

ポイント

元素識別(分解能)

ピーク重なりあり

明確に分離可能

重なり問題を解決

微量元素分析

ノイズに埋もれる

高感度で検出

微量元素まで見える

軽元素(B,C,N,O)

検出が難しい

高精度に分析可能

軽元素に強い

定量分析

半定量

高精度(1~3%)

数値で議論できる

分析用途

スクリーニング

詳細解析

役割が明確に違う

エネルギー分解能、P/B比の違いによるピーク分離能力 (試料:ガラス)

エネルギー分解能、P/B比の違いによるピーク分離能力
(試料:ガラス)

EDSではピークが重なり識別困難な微量元素も、EPMAでは明確に分離できます。

EDSではピークが重なり識別困難な微量元素も、EPMAでは明確に分離できます。

高精細マッピング(FE-EPMA)

FE-EPMA(電界放出型電子銃搭載EPMA)により、約100nmの空間分解能で元素マッピングが可能です。
ナノレベルの元素分布や微小偏析の評価に対応します。

FE-EPMAによる高分解能元素マッピング
FE-EPMAによる高分解能元素マッピング
プローブ径比較
プローブ径比較

ナノレベルの領域でも微量元素分布を詳細に評価できます。

実装デバイスの定量分析

標準試料を用いた分析により、元素濃度を定量値として取得可能です。

  • 相対誤差1~3%
  • 微小領域(約1µm~)の分析
  • 再現性の高いデータ
ディスプレイデバイス断面試料
ディスプレイデバイス断面試料

ガラス基板のEPMA定量値(5回測定による平均値)

[%]※1
分析元素 Si Al Na Mg K Ca Sn O
定量値 30.6 8.1 8.6 2.6 1.5 0.3 0.3 47.9
[atom%]※2
分析元素 Si Al Na Mg K Ca Sn O
定量値 22.2 6.1 7.6 2.2 0.8 0.1 0.1 60.9

高精度な定量データにより、材料の組成を数値として評価できます。

技術事例

分析対象や課題に応じた代表的な活用シーンを、相談例とあわせてご紹介します。

電池材料の元素分布解析


相談例:微量元素や軽元素の分布を把握したい

対応内容:EPMAにより、微量元素や軽元素を含めた元素分布を高精度に可視化します。電池材料の特性評価や劣化状態の解析に活用できます。

デバイス断面の定量分析


相談例:断面から材料構造や組成を正確に評価したい

対応内容:断面試料に対してEPMA定量分析を行い、元素組成を高精度に評価します。層構造の特定や材料設計の検討に有効です。

微小領域の組成分析


相談例:異物や不具合箇所の組成を特定したい

対応内容:EPMAにより、微小領域における元素組成を高精度に定量分析します。析出物や異物、不具合部の局所的な組成評価に有効です。

設備一覧

観察目的に応じて、EPMA単体ではなく前処理装置や関連分析装置を組み合わせて評価します。

設備

略称

主な用途

電子線マイクロアナライザ

EPMA

高精度な元素定量分析・元素分布解析

軟X線発光分光器

SXES

軽元素・化学状態の高分解能分析

ブロードイオンビーム加工装置

BIB/CP

広い範囲の平滑断面作製

大気非暴露分析システム

-

大気影響を避けた試料搬送・分析

報告書例

報告書の構成や記載イメージをご紹介します。

報告書サンプル構成

  • 依頼背景・観察目的
  • 試料情報・前処理条件
  • 分析条件(加速電圧、測定元素など)

分析結果一覧(元素分布・定量結果)

  • 主要所見・考察
  • 追加分析の提案

掲載イメージ

試料

LIB正極材断面
(必要に応じて非暴露搬送)

目的

Ni/Co/Mn分布および組成の確認

前処理

BIB/CP加工

主な所見

Ni/Co/Mnの偏析やバラつきを確認

次の提案

必要に応じて定量分析または
他手法との併用を提案

よくあるご質問(FAQ)

EPMAとEDS(EDX)の違いは何ですか?
EDS(EDX)は広範囲を迅速にスクリーニングするのに適した手法であり、EPMA(WDS)はピーク重なりを解消して微量元素・軽元素を高精度に識別・定量する点に優れています。目的に応じて使い分けることで、より正確な材料評価が可能です。
どのような場合にEPMA分析が必要ですか?
元素ピークが重なりEDS(EDX)では識別が難しい場合や、微量元素・軽元素の分析、正確な定量評価が必要な場合に有効です。特に不具合解析において原因特定の精度向上に貢献します。
EPMAはどのくらい細かい領域を分析できますか?
FE-EPMAにより約100 nmの分解能で元素マッピングが可能です。また、約1µmオーダーの微小領域において高精度な定量分析が行えます。
どのようなサンプルをEPMAで分析できますか?
電子デバイス、基板、複合材料、電池材料など、微細構造の確認が必要な各種固体試料が対象です。
前処理から測定まで大気に触れずに実施できますか?
はい、可能です。BIB加工など前処理からEPMA測定までを大気非曝露で一貫して実施することで、酸素や水分の影響により変質しやすい試料も分析可能です。
依頼前に相談できますか?
可能です。試料情報、知りたいこと、納期希望をもとに、前処理・観察・追加分析の組み合わせをご提案します。

費用・スケジュール

費用イメージ

  • 簡易観察:個別見積
  • 断面作製+EPMA観察:個別見積
  • 詳細解析(SXES含む):個別見積

*試料数、前処理の有無、観察箇所数、元素数により変動します。

スケジュール目安

  • お問い合わせ後、内容確認:1〜2営業日
  • 内容確認・見積提示:数営業日〜
  • 測定・報告:試料受領後 約1~2週間

*緊急案件は事前相談により短納期対応も可能です。