PFIB-SEMによる構造可視化受託サービス

PFIB-SEM装置は、観察機能(走査電子顕微鏡:SEM)と加工機能(プラズマ集束イオンビーム:PFIB)を統合した複合装置であり、試料の断面加工・高分解能観察・三次元構造解析を一体的に実施できます。
本ページでは、PFIB-SEMによる構造可視化サービスの概要、特徴、測定事例、設備一覧、報告書例、よくある質問、費用・スケジュールをご紹介します。

概要

PFIB-SEMは、Xeなどの希ガスを用いたプラズマイオン源により高電流のイオンビームを生成し、従来のGa-FIBと比較して大電流・高速加工を実現します。この特長により、広範囲の断面試料作製や三次元解析が可能となります。
本サービスでは、観察だけでなく、前処理、断面作製、分析、必要に応じた追加分析の検討まで含めて、開発・評価・不具合解析に必要な情報取得を支援します。


わかること

  • 試料内部の三次元構造
  • 異物・欠陥の位置および分布
  • 材料界面の状態
  • 局所断面における構造変化

主な用途

  • 材料の三次元構造解析
  • 電池材料の電極構造評価
  • 燃料電池材料の構造解析
  • ペロブスカイト太陽電池の断面解析

対象サンプル例

  • リチウムイオン電池
  • 燃料電池
  • ペロブスカイト太陽電池
  • 金属・セラミックス・ポリマー材料

特徴

PFIB-SEMとの組み合わせ分析手法

PFIB-SEMは、高速かつ広範囲の断面加工および低ダメージ加工が可能であることに加え、EDX、EBSD、TOF-SIMSなどの多様な分析手法と組み合わせることで、構造・元素・結晶を統合的に取得できる点を特長とします。これにより、高度な材料解析および不具合解析の実現が可能となります。

プラズマ集束イオンビーム装置(PFIB-SEM)の外観
  • Helios5HydraCX
    (サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
  • EDX:Ultim Max 100mm
    (オックスフォード・インストゥルメンツ社製)
  • EBSD:Symmetry S3
    (オックスフォード・インストゥルメンツ社製)
  • TOF-SIMS:C-TOF
    (TOF-WERKS社製)

プラズマ集束イオンビーム装置(PFIB-SEM)の外観

加速電圧:0.5kV 13pA
WD:1mm,100,000倍

高分解能SEM像
高分解能SEM像

PFIB×EDX 三次元元素分布の可視化

応用例

  • 電池材料(正極・負極)の元素偏析
  • 劣化解析 異物・汚染物の組成特定
全固体電池の断面SEM像
全固体電池の断面SEM像
から
三次元元素マッピング

三次元元素マッピング

成分A
成分A
成分B
成分B

PFIB×EBSD 微小領域の結晶方位解析

応用例

  • 電池材料や薄膜材料の結晶性評価
  • 変形・加工による結晶構造変化の可視化
  • 金属材料の結晶方位分布解析
結晶方位測定のイメージ図(EBSD)
結晶方位測定のイメージ図(EBSD)

PFIB×TOF-SIMS 最表面元素分布の高感度可視化

応用例

  • Li、Hなど軽元素の高感度分布解析(LIB・全固体電池)
  • 表面・界面の汚染物質や添加剤の検出
  • ペロブスカイト太陽電池における成分偏析・溶媒残渣解析
正極 極板断面のLi分布
正極 極板断面のLi分布

正極 極板断面のLi分布

三次元構造(Slice&View)の観察及び数値化

PFIB付き高分解能SEMを用い、PFIBで断面加工(Slice)とSEM観察(View)を繰り返し、取得した画像を再構築することで、三次元構造情報を取得できます。さらに、三次元構造モデルを再解析することで、材料の三次元分布、空隙率、粒子パラメータ解析等を定量的に評価することが可能となり、材料設計に有用な情報が得られます。

① 断面画像の取得

連続スライス像
連続スライス像
から

② 3D再構成

3D-SEM像
3D-SEM像
から

③ 3D可視化・解析

空孔の二値化像
空孔の二値化像

従来の2D観察では把握できない内部構造を、三次元で可視化・定量評価します。

三次元構造解析から空孔ネットワーク状態定量評価(イメージ図)

3D構築画像による構造解析

冷却機能による高精度加工技術

冷却機能付PFIB(Cryo-PFIB)は、従来のPFIB加工に対して熱・ダメージを抑えながら高精度加工・構造保持ができる点が大きな特徴です。低温下で材料の本来構造を維持したまま、精密加工と高分解能観察を同時に実現でき、従来、解析困難であったソフト材料・電池材料の微細構造を、ダメージレスかつ高精度に可視化できます。

冷却なし(室温)

Xe/Ar イオンビーム

イオン照射による発熱が大きい
試料温度上昇、変質のリスクが高い

冷却あり(低温:Cryo)

Xe/Ar イオンビーム  冷却ステージ(液体窒素冷却)

温度上昇を抑制
熱影響が抑制され、
試料の構造・組成を維持できる

PFIB断面加工の比較(イメージ図)

測定事例

観察対象や課題に応じた代表的な活用シーンを、相談例とあわせてご紹介します。

  • ペロブスカイト太陽電池の構造解析
    →ペロブスカイトの有機成分及びPbI₂生成状態の正確な評価
  • リチウムイオン電池電極の構造解析
    →サンプル状態を保持したまま、粒子分布や空隙率を評価
  • 燃料電池電解質膜の断面解析
    →有機成分の分解・移動を抑え、本来の分布を評価
  • 電池材料劣化メカニズムの解析
    →サイクル後の構造変化を比較
  • 半導体デバイスの欠陥解析
    →ボイド、クラック、異物の三次元分布を特定

相談例

・ダメージを受けやすいペロブスカイト太陽電池における欠陥・劣化要因を解析したい

対応内容:Cryo-PFIB断面加工とSEM-EDX分析を組み合わせた分析手法を提案し、欠陥部の異物分布や元素偏析を可視化し、性能低下要因の特定に貢献した。

❶ドライルームでの前処理(切断)

ドライルーム内で試料を切断し、FIB分析用の小片試料を作製


ポイント

  • ・水分酸素の影響を最小化
  • ・組成変化や劣化を抑制
  • ・分析部位を正確に指定

❷ 低温保持(Cryo)

液体窒素冷却により約-150℃で試料を保持し、揮発、イオン移動、相変化を抑制

ポイント

  • ・揮発成分の損失を抑制
  • ・イオン移動、相分離を抑制
  • ・実環境に近い状態を維持

❸ 低ダメージ加工(FIB)

Ar/Xeイオンビームで低ダメージかつ高品質な断面を作製


ポイント

  • ・Ar/Xeによる低ダメージ加工
  • ・高スパッタ効率で、損傷低減
  • ・平滑でシャープな断面を作製

❹ SEM-EDX分析(異物分析)

高分解能SEM観察とEDX分析で、異物の有無、 組成、分布を評価


ポイント

  • ・微細異物の検出が可能
  • ・元素マッピングで分布を可視化
  • ・組成評価が可能

❺ データ解析・報告

観察像と元素情報を統合し、異物の種類、起源、影響を評価し、レポートとして提供

ポイント

  • ・異物の種類、分布を評価
  • ・起源推定と影響評価を実施
  • ・改善提案までサポート

ペロブスカイト材料解析案件のワークフロー図

設備一覧

観察目的に応じて、PFIB断面加工によるSEM観察ではなく、装置や関連分析装置を組み合わせて評価します。

設備

略称

主な用途

プラズマ集束イオンビーム

PFIB

高速断面加工、三次元構造解析、広範囲異物解析

走査電子顕微鏡

SEM

表面・断面の微細構造観察

エネルギー分散型X線分析装置

EDX

三次元元素分布の可視化、定性・マッピング分析

電子後方散乱回折装置

EBSD

微小領域の結晶方位解析

二次イオン質量分析装置

TOF-SIMS

高感度で最表面の元素分布可視化

急速凍結冷却システム

Cryo System

液体状態を保持した断面作製、低ダメージ観察

よくあるご質問(FAQ)

PFIB-SEMではどのような観察が可能ですか?
高速かつ大体積の断面加工が可能であり、ナノ~ミクロン領域の微細構造観察に加え、広範囲の三次元構造解析(3D再構築)が可能です。
従来のGa-FIBとの違いは何ですか?
PFIBはプラズマイオン源(主にXe)を使用しており、高電流による高速加工が可能です。また、Ga汚染がないため、元素分析との親和性に優れています。
どのくらいのサイズまで加工・観察できますか?
数十µmから数百µmまでの大断面加工が可能です。Ga-FIBに比べ、広範囲の解析に適しています。
他の分析手法と組み合わせることは可能ですか?
可能です。PFIBによる断面作製後に、EDX、EBSD、TOF-SIMSなどと組み合わせることで、構造・元素・結晶・化学情報を統合的に評価できます。
試料へのダメージはありますか?
イオンビームによるダメージは発生しますが、Cryo(低温)条件を併用することで、揮発・構造変化・ビームダメージを低減することが可能です。
依頼前に相談できますか?
可能です。試料情報、知りたいこと、納期希望をもとに、前処理・観察・追加分析の組み合わせをご提案します。

費用・スケジュール

費用イメージ

  • PFIB断面作製+SEM観察:14万円~
  • 詳細解析(EDXなど含む):20万円~

*試料数、前処理の有無、観察箇所数、追加分析の有無により変動します。

スケジュール目安

  • お問い合わせ後、初回確認:1営業日
  • 内容確認・見積提示:1営業日〜
  • 観察・報告:案件内容に応じて調整

*緊急案件は事前相談により短納期対応も可能です。

お問い合わせの際は、以下の内容をご共有いただくとスムーズです。

  • 試料情報(サイズ / 材料 / 大気非暴露可否)
  • 知りたいこと(例:三次元粒子分布 / 異物分析など)

評価内容が明確でない場合でも、整理前の段階からご相談可能です。
まずは概算検討レベルでも問題ありません。