TEMによる構造可視化受託サービス
TEM(透過電子顕微鏡)により、ナノレベルの構造可視化と組成分析を行い、デバイス開発、不良解析、品質改善に役立つ情報取得を支援します。
本ページでは、TEMによる構造可視化サービスの概要、特徴、技術事例、設備一覧、報告書例、よくある質問、費用・スケジュールをご紹介します。
ページ内目次
概要
透過電子顕微鏡(TEM)は、薄片化した試料に電子線を照射し、試料を透過した電子や散乱した電子を結像させることで、ナノスケールでの微細構造の観察、元素分析を行うことができる分析手法です。
本サービスでは、観察だけでなく、前処理、断面作製、元素分析、必要に応じた追加分析の検討まで、開発・評価・不具合解析に必要な情報取得を支援します。
わかること
- 断面の層構造・界面状態
- 異物・ボイド・欠陥の有無
- 粒子分散状態や構造変化
- 接合界面の反応層
- 拡散層の確認
主な用途
- 電子デバイスの断面観察
- 多層膜・薄膜材料の構造確認
- 微細デバイス内部の断面構造確認
- 電池材料の微細構造評価
- 不良解析・原因究明
- 断面方向の元素分布評価
- 不具合部の局所断面観察
対象サンプル例
- 電子デバイス
- リチウムイオン電池
- 全固体電池
- 燃料電池
透過電子顕微鏡:Spectra Ultra(Thermo Fisher Scientific製)
透過電子顕微鏡「Spectra Ultra」は原子分解能イメージングと高度な分析機能を融合した最先端の収差補正TEMです。
球面収差補正機能付き透過電子顕微鏡(Spectra Ultra)
- ■EDX装置
-
Ultra-X
(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製) - ■EELS検出器
-
Zebra Detector
(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)
特徴
- 収差補正技術により50pm以下の高い空間分解能
- EDX元素分析は、大立体角(最大約4.45sr)の次世代検出器を搭載
ダメージを受けやすい材料でも高感度に分析可能 - EELS分析装置で、電子状態分析が可能
- 加速電圧を同一視野のまま、30~300kVに短時間で切り替え可能
- 環境制御観察対応
対象サンプル
- 電子デバイス
- リチウムイオン電池
- 全固体電池
- 燃料電池
透過電子顕微鏡:JEM-F200(JEOL製)
透過電子顕微鏡「JEM-F200」は高分解能観察と高度な分析性能を兼ね備えた多機能型FE-TEM(電界放出形透過電子顕微鏡)です。冷陰極電界放出電子銃(Cold FEG)を搭載し、高輝度・高安定な電子線により、ナノスケールでの高精度な観察が可能です。
透過電子顕微鏡(JEM-F200)
- ■EDX装置
-
System7
(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製) - ■Quantum ER
- (Gatan社製)
特徴
- ナノスケールから原子レベルの格子像まで観察可能
- TEM付属のEDX装置で元素分析が可能
- EDX装置に付属のソフトで多変量解析が可能
- TEM付属のEELS分析装置で、電子状態分析が可能
- 熱ダメージに弱い試料は、冷却観察でダメージを低減
- 加熱、電圧印加のin-situ観察が可能
- 環境制御観察対応
対象サンプル
- 電子デバイス
- リチウムイオン電池
- 全固体電池
- 燃料電池
特徴
TEM前処理:FIB装置
FIB(focused Ion Beam)加工法とは、Gaなどのイオンをナノレベルに集束し、材料表面に照射することで、微細加工・断面作製を高精度に実施する技術です。
装置付属のSEMで観察することにより、目的箇所へのピンポイント加工や高品質な断面作製を実現し、ナノスケールでの構造解析や欠陥解析などの評価を高精度に実施することが可能です。
特徴
- 表面SEM、断面SEMを見ながらピンポイントの場所あて可能
- 低加速加工によりダメージ低減が可能
- 熱ダメージに弱いサンプル(樹脂など)は冷却加工によりダメージを軽減
- グローブボックスを使用し、環境制御加工が可能
対象サンプル
- 電子デバイス
- リチウムイオン電池
- 全固体電池
- 燃料電池
技術事例
リチウム電池(LiB)材料解析
当センターは、リチウムイオン電池の正極・負極材料解析に豊富な知見を有しています。LiB材料では、粒子内部の構造変化、表面被膜、界面反応、元素偏在、劣化由来の局所変化などが性能や寿命に大きく影響します。こうした現象は複雑で、しかも試料によっては電子線ダメージを受けやすいため、観察・分析には高度なノウハウが求められます。
当センターが得意とする解析テーマ
- 正極活物質の粒子内部構造、表面状態の観察
- 劣化前後比較による組織変化、界面変化の把握
- 負極材料や複合電極の微細構造解析
- STEM-EDXを用いた元素分布、偏析の確認
- トモグラフィを用いた粒子や空隙構造の三次元把握
当センターの強み
LiB材料は、見たい構造を壊さずに観ることが重要です。Spectra Ultraはビームに弱い材料に対する化学分析に強みがあり、同一領域で高分解能観察と低ダメージ元素分析を両立しやすい装置です。さらに、装置性能だけでなく、当センターにはLiB正極・負極の観察ノウハウ蓄積があります。そのため、単なる画像取得にとどまらず、「どこを観るべきか」「どの条件なら劣化現象を捉えられるか」まで含めて提案できる点が強みです。
LiNiO2の原子分解能像
HAADF像
BF像
HAADF像
i-dpc像
半導体解析の解析
半導体デバイスのTEM解析では、FIB加工により観察対象箇所をピンポイントで抽出し、目的(出来栄え評価、欠陥観察、不良解析など)に応じた高精度な観察を行っています。
さらに、必要に応じてEDXやEELSなどの元素分析を組み合わせることで、微細化が進む半導体デバイスにおいても、課題の本質に迫る高付加価値な解析を提供しています。
対応できる評価例
- 微細配線、接合部、絶縁膜、界面の断面評価
- 欠陥、膜厚ばらつき、界面反応、結晶性の確認
- STEM-EDXによる局所組成分析
- プロセス起因の異常部位解析
当センターの強み
Spectra Ultraは、高分解能観察、効率的なEDX分析、ビームダメージ低減、3Dイメージング/EDXトモグラフィに対応しています。特に、半導体デバイスのように多層・微細・複雑化した構造では、構造像と組成情報を高いレベルで両立できることが大きな利点です。
当センターでは、この装置性能に加えて、デバイス理解に基づく解析視点を組み合わせることで、「像は見えたが意味づけが難しい」という状態ではなく、設計・工程・不具合と結び付いた実践的な評価結果を提供します。
トモグラフィ・EDXトモグラフィによる三次元解析
二次元断面像では把握しきれない構造に対して、当センターでは電子線トモグラフィおよびEDXトモグラフィによる三次元解析を行っています。ナノ材料や複雑なデバイスでは、粒子形状、空隙ネットワーク、析出物の分布、元素偏在の立体配置など、三次元で初めて理解できる情報が少なくありません。トモグラフィでは、試料を連続的に傾斜させて得た像列から3D再構成を行い、形状・内部構造を立体的に評価します。さらにEDXを組み合わせることで、元素分布を三次元で可視化することも可能です。
当センターの強み
当センターの強みは、高品質な3Dイメージング/EDXトモグラフィ性能に加え、三次元解析に適した試料を作り込むためのFIB加工技術を併せ持つ点にあります。トモグラフィ解析では観察装置の性能だけでなく、試料形状や加工品質が結果を大きく左右します。そこで当センターでは、FIBを用いたロッド加工など、三次元観察に適した試料作製技術を活用し、再構成精度の高いデータ取得を支援します。この**「装置性能」と「前処理・加工力」**の両輪により、通常の2D観察では見落としやすい
- 粒子内部の複雑な形状
- 三次元的な空隙、連結構造
- 立体的な元素偏析
- 局所領域の真の分布状態
を、より本質的に評価できます。トモグラフィでは連続傾斜像から3D再構成を行い、EDXを組み合わせることで形態情報と元素分布を三次元で統合的に可視化できます。
SEM像
FIBを用いたトモグラフィ観察用ロッド加工
燃料電池触媒のEDXトモグラフィ観察※1
※ThermoFisher社 技術資料より抜粋
※1 A. Pedrazo-Tardajos et al.,Thermal Activation of Gold Atom Diffusion in Au@Pt Nanorods; ACSNano 2022
付属分析
観察目的に応じて、装置や関連分析装置を組み合わせて評価します。
よくあるご質問(FAQ)
- TEM観察を依頼することはできますか?
-
はい、可能です。
当社では透過電子顕微鏡(TEM)による観察・分析を受託しております。
試料の状態や目的に応じて、観察条件の最適化からデータ取得・解析まで一貫して対応いたします。初めての方でも安心してご相談ください。
- TEMでは何が観察できますか?
-
ナノレベルの微細構造や結晶構造を観察できます。
TEM(透過電子顕微鏡)では、以下のような情報を取得できます。
- ナノ粒子のサイズ、形状
- 結晶構造、格子像(HR-TEM)
- 元素分析(EDX分析、EELS分析)
- 層構造、界面状態
- 欠陥や析出物の観察
- どんな材料に対応していますか?
-
半導体、電子デバイス、セラミックス、複合材料、高分子、樹脂、ナノ粒子、電池材料など、微細構造の確認が必要な各種試料が対象です。
「この試料は観察できますか?」といったご相談も歓迎です。
- SEM観察とTEM観察ではどのように使いわければいいですか?
-
μmオーダーの観察はSEMで、より詳細なナノ構造解析はTEMで行います。
どちらで観察するか不明な場合は、観察の目的に応じて、手法を提案することも可能です。
- 電子線ダメージを押さえる方法はありますか?
-
はい、条件調整で抑えることが可能です。
- 低加速電圧での観察
- 低温加工(クライオFIB)、低温観察(クライオTEM)
- グローブボックス、環境制御FIB加工、環境制御TEM観察
- TEM観察の費用はどのくらいですか?
-
内容により異なります。費用は以下の条件により変動します。
- 試料種類(粉体・薄膜・バルクなど)
- 試料作製方法(分散・FIB加工・前処理の有無)
- 観察内容(通常像、高分解能、EDX元素分析、EELS分析)
- 納期はどのくらいですか?
-
通常は1週間~2週間程度です。
試料内容や混雑状況によりますが、急ぎ対応も可能です。
お急ぎの場合は、ご相談いただければ最短で対応いたします。
費用・スケジュール
費用イメージ
- FIB断面作製+TEM観察:30万円~
*試料数、前処理の有無、観察箇所数、分析メニューなどにより変動します。
スケジュール目安
- お問い合わせ後、内容確認:1営業日
- 内容確認・見積提示:1営業日〜
- 観察・報告:案件内容に応じて調整
*緊急案件は事前相談により短納期対応も可能です。
お問い合わせの際は、以下の内容をご共有いただくとスムーズです。
- 試料情報(サイズ / 材料 / 大気非暴露可否)
- 知りたいこと(例:三次元粒子分布 / 異物分析など)
評価内容が明確でない場合でも、整理前の段階からご相談可能です。
まずは概算検討レベルでも問題ありません。