ナノ構造可視化サービス(TEM)

透過電子顕微鏡(TEM)は、薄片化した試料に電子線を照射し、試料を透過した電子や散乱した電子を結像させることで、ナノスケールでの微細構造の観察、元素分析を行うことができる分析手法です。  プロダクト解析センターでは、TEMを用いることで、薄膜材料の多層構造、半導体チップの断面構造、 燃料電池材料、リチウムイオン電池材料などのナノ構造可視化サービスを行っております。

FIB加工/TEM観察を用いた断面構造の可視化

薄膜材料における現象解明や材料設計を容易にするために、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた1nm~数百nmの大きさのナノ構造の可視化サービスを提供します。 集束イオンビーム(FIB)加工を用いて場所決めを行ってから薄片試料を作製することによって、微小な部位を指定して、デバイス断面をTEM観察することが可能です。

また、試料に入射させる電子線をスキャンさせる走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察モードを用いると、同時に元素分析も実施することができます。

【TEM外観】
【FIB加工装置外観】

薄膜材料の多層構造の可視化

ナノメートルオーダーの多層薄膜の断面構造を可視化できます。試作品の膜厚計測が可能です。

【多層薄膜のSTEM観察像】

半導体チップの断面構造の可視化

ナノメートルオーダーのLED発光層の構造や、金属電極膜の構造を可視化でき、同時に元素分布のマッピングもできます。
試作品の構造の確認や、試験前後での多層膜間の元素拡散状態の比較などが可能です。

【発光層のSTEM観察像】
【発光層の元素マッピング像】

アルゴン雰囲気グローブボックスを用いた大気非暴露環境での微細構造分析

アルゴン雰囲気グローブボックスを用いて、大気非暴露下でのサンプリング、微細構造分析が可能です。プロダクト解析センターでは、集束イオンビーム加工装置(FIB)や透過型電子顕微鏡(TEM)といった既存の設備にも大気非暴露環境を整備しており、サンプリングから分析までの一貫したプロセスで大気非暴露環境での分析依頼に対応できます。

【アルゴン雰囲気グローブボックス】
大気暴露観察(大気中の水分、酵素反応して試料状態が変化)→大気非暴露観察(大気暴露により試料劣化なく観察が可能) 大気暴露観察(大気中の水分、酵素反応して試料状態が変化)→大気非暴露観察(大気暴露により試料劣化なく観察が可能)

※画像提供元:日本電子株式会社

【全固体電池 シリコン負極材料の断面TEM写真】

これによって、酸素や水分により観察試料を劣化させることなく、FIB断面加工から、TEM観察を実施することができます。また、SEM観察やXPS分析などの表面分析においても、大気非暴露下での微細構造分析が可能です。本手法を用いることで、リチウムイオン電池材料や有機ELデバイスなど、酸素や水分と反応しやすい材料の各種分析が可能です。