発生ガス分析 受託サービス

製品や部材、各種材料から発生するガスは、異臭や腐食、汚染トラブルを引き起こすだけでなく、人体へ悪影響を及ぼすこともあるため、発生ガスの種類や量を正確に分析することは、品質保証や安全性確保に不可欠です。当社では、GC/MSやTG‑DTA/MS を駆使し、豊富な分析実績とノウハウを活かして、原因特定から対策立案までをサポートします。

発生ガス分析について

各種発生ガス分析手法の比較

加熱等により材料から発生するガスの分析法には、下記表に示すいくつかの手法があります。お客様のご要望のアウトプットを考慮して、加熱温度領域や、試料の形状・大きさ、発生ガス濃度など、種々の状況に合わせて最適な手法を選択し、発生ガスを解析します。

分析手法

試料の
加熱温度範囲(℃)

感度

試料形状

特徴

HS-GC/MS

60℃~200℃

ppm~%

液体
固体

試料をバイアルに封入し、加熱して気液平衡状態になった気相を分析

TD-GC/MS

~290℃

ppm~%

気体
液体
固体

気体、液体、固体からの微量発生ガス分析が可能

Py-GC/MS

~950℃

ppm~%

液体
固体

高分子試料の熱分解ガス解析が可能

TG-DTA/MS

~900℃

液体
固体

温度プロファイルに対する発生成分と重量減少、および吸熱・発熱反応を同時に解析可能

TDS

~1000℃

ppm

固体

高真空下で昇温しながら脱離成分を質量分析計で高感度に検出

GC/MSとTG-DTA/MSの違い

GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析)は、加熱により発生したガスをGC部で成分ごとに分離し、MS部で同定・定量する手法です。有機成分の高感度分析に適し、成分ごとの詳細な情報が得られます。 一方、TG-DTA/MS(熱重量・示差熱同時分析/質量分析)は、試料を加熱しながら重量変化(TG)と熱的挙動(DTA)を測定し、同時に発生ガスをMS部で解析する手法です。熱分解挙動や発生温度との関連を把握でき、材料の熱特性評価に有効です。

GC/MS

TG-DTA/MS

装置構成

メリット

成分ごとの詳細な情報が得られる

  • 複数成分をGCで分離することができ、定性精度が高い
  • ピーク面積値を用いた定量が可能

材料の熱特性評価に有効

  • 温度プロファイルに対する発生ガス解析が可能
  • 重量減少や熱分析情報と相関解析可能
デメリット
  • 発生ガス成分の温度プロファイルなし
    (発生開始温度が分からない)
  • 定性困難な場合あり
  • 定量不可

アウトプット

GC/MS分析におけるガス捕集方法の比較

試料が大きい場合や割断できない場合には、サンプリングバッグや小型チャンバー内に試料を封入し、捕集基材を用いてバッグおよびチャンバー内に発生したガスをサンプリングします。また、現場環境の空気の評価を行う場合は、現場に直接お伺いして捕集作業を行うことも可能です。

手法

サンプリングバッグ
(1~20L程度)

小型チャンバー
(20L)

現場での空気捕集

サンプリングバッグ
小型チャンバー
現場での空気捕集

適用例

車載部材、基板など

建材、小型製品など

環境評価など

GC/MS分析における加熱方法の比較

通常、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)にて、各成分を分離して分析します。分析試料の大きさや形態(固体・液体・気体)によって装置への様々な導入方法があります。お客様の分析目的に対して、最適な分析方法をご提案いたします。

手法

捕集-加熱脱着法

加熱脱着法

ヘッドスペース法

熱分解法

試料形態

固体・液体・気体

固体・液体

固体・液体

固体・液体

加熱温度

~290℃

~290℃

~200℃

~950℃

適用例

製品や各種部材、
環境評価など

原材料、成型品など

原材料、成型品、
水系試料など

樹脂材料など

発生ガス分析事例

GC/MS分析によるシロキサンガスの定量比較

発生ガス分析の一例をご紹介します。クリーンルーム内の雰囲気空気を捕集し、加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法にて測定します。汚染のないクリーンルームからは有機成分は検出されないのに対し、汚染のあるクリーンルームからは、低分子環状シロキサン類を検出しています。このように、一定空間内の空気の汚染度をppbレベルで評価することが可能です。

クリーンルーム雰囲気のGC/MSチャート

 クリーンルーム雰囲気のGC/MSチャート。 低分子環状シロキサン(D4, D5, D6等)が検出されており、汚染されていることが判明しました。

検出量(ppb)

N量体

汚染あり

汚染なし

D4

0.1

<0.1

D5

0.8

<0.1

D6

1.2

<0.1

その他の発生ガス分析事例

FAQ

Q1 発生ガス分析と加熱発生ガス分析の違いは何ですか?

 発生ガス分析は常温や加熱で材料から放出されるガスを測定、加熱発生ガス分析は温度を制御しながらガス成分を評価します。

Q2 どのくらいの温度範囲で分析できますか?

 通常は室温〜950℃程度まで対応可能です。試料や目的により条件を調整します。

Q3 最小試料量はどのくらい必要ですか?

 0.1mg〜数g程度が目安です。形状や材質により異なるため事前相談を推奨します。

Q4 ppbレベルの微量成分も検出できますか?

 GC/MSや加熱脱着法を用いることでppbレベルの検出が可能です。

Q5 どのような捕集法に対応していますか?

 吸着管、バッグ、ヘッドスペース、DHS(ダイナミックヘッドスペース)など複数の捕集法に対応しています。

Q6 JISやIECなどの規格に準拠した分析は可能ですか?

 JIS K 7217やIEC 60754-2など、代表的な規格に準拠した条件での分析が可能です。

Q7 納期はどのくらいかかりますか?

 通常は試料到着後1〜2週間程度ですが、試験条件や試料数により変動します。

Q8 分析結果はどのような形式で提供されますか?

 クロマトグラム、定性・定量結果、条件設定を含む報告書をPDFで納品します。

関連情報