におい成分の調査・模擬臭作製 受託サービス
「におい」の分析を得意とする、におい嗅ぎガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた「におい成分分析」と「模擬臭作製」サービスを行っております。
におい成分の調査サービス(におい嗅ぎGC/MS)
においは複数の化学物質が混ざり合った複合臭になっていることが多く、濃度や構成比率が変化するとにおいの感じ方が変わることがあります。また、非常に低濃度でも強いにおいに感じる(=嗅覚閾値の低い)化学物質もあることから、におい成分の調査では、においを構成する成分とその濃度を分析するだけでなく、においの種類や強さも含めて評価する必要があります。
におい嗅ぎGC/MSは、ヒトの嗅覚でにおい成分を識別することを特長としており、従来の汎用GC/MSだけでは捉えきれなかった微弱なにおい成分も、におい嗅ぎ(ヒトの嗅覚)と組み合わせることで、見逃さずに検出することが可能になります。
生活臭、食品臭、体臭、香料、異臭などの特定に、研究・製品開発の現場で活用されています。
におい嗅ぎGC/MSの特長
- ・高感度
- 従来のGC/MSでは捉えきれなかった微量な成分も、ヒトの嗅覚で逃さず検出し、におい物質を特定します。
- ・高精度
- 豊富なにおい成分のデータベースにより、複雑なにおいも詳細な成分特定が可能です。
- ・においレベルの可視化
- 複合したにおい成分を分離し、各成分のにおいの強さを嗅覚で判別。これにより、においの主原因を特定することが可能です。
におい嗅ぎGC/MSの原理
におい嗅ぎGC/MSは、におい成分を分離するガスクロマトグラフ(GC)部と、分離した成分を検出する質量分析計(MS)部、それに検出成分のにおいを嗅ぐことができるにおい嗅ぎ部で構成されています。GC部では、試料がカラムに導入され、成分によりカラム中の固定相との相互作用(吸着、分配)の強さが異なる性質を利用して分離し、におい嗅ぎ部とMS部に分岐します。におい嗅ぎ部では、分析者の嗅覚によりにおいの種類や強さを感知します。MS部では、成分がイオン化され、電場内で質量ごとに分離されて検出器に到達します。これにより得られたMSスペクトルによりにおい成分の定性を行います。
におい成分の分析事例
■香料のにおい成分特定
柑橘系の香料2種(ライム、ピンクグレープフルーツ)に対し、におい嗅ぎGC/MS分析にて詳細に成分特定した事例を示します。
香料2種に含まれる成分は比較的似た種類ですが、におい嗅ぎにてにおいが強く検出された主成分(★)の構成は異なっており、におい成分の構成比率に違いがあることが分かります。におい成分は必ずしもGC/MS分析チャートのピークが大きい化合物とは限らないため、“GC/MS分析”と“におい嗅ぎ”を併用することにより、GC/MS分析チャートの小さなピークでも臭気物質と特定することができ、におい成分を精度よく評価することが可能です。
■その他の活用事例(異臭原因特定・脱臭評価)
- 異臭、悪臭原因の調査(カビ臭、腐敗臭、糞尿臭など)
- 脱臭、消臭性能評価(脱臭効果の評価サービス)
- 製品や部材の臭気比較調査
- 臭気物質の調査
模擬臭作製サービス
「こんなにおいを再現できたらいいのに」
そんな声にお応えして、実際のにおいの成分を分析し、その構成に基づいて同じようなにおいを再現するサービスを展開しています。におい嗅ぎGC/MSなどで特定された成分を組み合わせて、元のにおいに限りなく近いにおいを臭気判定士が再現します。
<本サービスの特長>
- 実際のにおいに近い再現が可能
- 成分比率の調整により、においの強さや印象をコントロールできる
- 再現性が高く、比較・評価に適している
模擬臭とは?
模擬臭とは、実際の臭気を再現するために人工的に調合された臭いのことです。特定の臭い成分の組み合わせを評価したり、消臭性試験などで臭気を比較するために用いられ、実際の臭気に近い評価を、高い再現性で繰り返し実施することができます。
対応可能な臭気の一例
模擬臭の活用事例
- 異臭対策:製品や部材から発生する異臭を再現し、原因究明や対策検討に活用。
- 品質管理:製品のにおいのばらつきを再現し、検査基準の策定に利用。
- 教育・訓練:におい判別の訓練用教材として使用。
- 研究開発:香料や消臭剤の開発において、ターゲットとなるにおいの再現に活用。
FAQ
Q1 どんなにおいを分析できますか?
→ 食品臭、体臭、香料、異臭(製品・部材由来)など、幅広いにおいに対応可能です。微弱なにおい成分も高感度で検出できます。
Q2 分析にはどれくらいの時間がかかりますか?
→ サンプルの種類や目的によりますが、通常は2週間程度で速報をご報告します。
Q3 どんな業種で利用されていますか?
→ 食品・化粧品・家電・医療・環境分野など、においに関する品質管理や研究開発を行う企業・機関で活用されています。
Q4 実際の臭気強度とは違いますか?
→ 複数名モニターによる6段階臭気強度での官能評価も承っておりますので、その結果との紐づけも可能です。
Q5 模擬臭はどのように作製されますか?
→ 分析で特定されたにおい成分の標準液を入手し、調合します。再現性が高く、評価や対策に活用できます。