新サービス「半導体部品変更時のEMC等価性評価・アセスメントサポート」を開始しました
門真EMCサイトの石橋です。
今回は、現在EMC業界でホットな話題である「半導体部品のEMC等価性」に関するサービスを開始したのでお知らせします。
近年、半導体メーカの再編、構造改革による部品製造ラインの移転等により、同一部品を供給し続けることが難しくなっています。
製品によっては、部品を変更する場合、EMC評価を再度求められますが、EMC評価は電波暗室等で長時間試験する必要があり、設計者の検証工数が課題となっています。
その中でも今回はEMC問題の根源の一つである“半導体”に着目し、その性能差が無いことを証明するための評価法を記述した標準化規格がJEITA ED-5008:半導体EMC性能等価性評価法として規格化されました。また、自動車業界でこの規格をもとにJASO D019:自動車用半導体EMC性能等価性試験法として規格化が完了し、運用がスタートしています。
この実現により、部品置き換え時における商品レベルでのEMC評価項目が削減され、「大幅な評価費用削減」と「検証リードタイムの短縮」が見込めます。
これらの等価性評価には、以下の半導体のEMC評価規格が参照されています。
- IEC 61967-4(伝導性エミッション評価:1Ω/150Ω法)
- IEC 62132-4(伝導性イミュニティ評価:DPI法)
プロダクト解析センターでは早い段階から半導体単体でのEMC評価に取組み、上記のIEC規格に準拠したEMC評価に対しISO/IEC 17025の試験所認定を取得しています。
また、これらのIEC, JEITA, JASO規格化にも携わっていますので、これらの詳細が分からない方でも安心してご利用いただけます。
これらを適用するには、半導体メーカそして半導体ユーザにも規格の適切な理解や判断基準、リスク等を把握したうえで利用することが求められます。
上記のように
■半導体メーカ
- 等価性のデータを取得したい
- 第三者機関での評価を行いたい
- (規格で要求されている)基板の影響を解析したい
■半導体ユーザ(ECUメーカ、OEMメーカ)
- レポートを見てどのように解釈すればよいのか
- どの試験が省略できそうか
- 自分の製品に搭載した際にどの程度影響があるのか 等
こういったお困りに際し、技術コンサルティング~最終評価まで実施可能です。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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DPI試験に関するテクニカルレポートを公開!
門真EMCサイトの石橋です。
コロナの影響で開催が延期されていたTECHNO-FRONTIERが9/8(火)よりバーチャル展示会2020として開催されています(9/8~9/18)。初の試みとなるWeb上での展示会ですが、ここでは、【EMC・ノイズ対策技術】のブースも各社が出展しています。
その中で、株式会社ノイズ研究所様のブースにて、「半導体デバイスに対するEMC試験~DPI試験の概要とユーザ視点での活用方法~」と題して、私が執筆したテクニカルレポートが掲載されました。
株式会社ノイズ研究所様のページは、事前登録なしでも閲覧することが可能です。
ここでは半導体デバイスのEMC規格の中で、伝導性イミュニティ評価の代表的試験方法であるDPI試験(IEC 62132-4)に関する基礎的な内容から、それらを活用したノイズ対策事例、そしてシミュレーションへの活用事例について紹介しています。
半導体デバイスのEMC試験は、半導体メーカはもちろんのこと、近年ではユーザ側としても非常に重要な役割を持ってきています。特に自動車業界では、半導体デバイスの部品置き換え対応時のEMC試験工数削減に向けて、ノイズの根本となる半導体の工程前後品での等価性を証明することで、搭載する電子機器のEMC試験を省略する取り組みが検討されています。
この半導体EMC性能の等価性評価法については、既にJEITAでは規格化(7月)され、現在では自動車業界での規格化に向けて審議が進められています。
従来の半導体メーカだけではなく、それを使用する立場としても十分に理解することで、双方がメリットを得られる取組みとなっています。
プロダクト解析センターでは(財)日本適合性認定協会(JAB)より、2017年5月に半導体のEMCについてもスコープを拡大し、日本初の半導体EMC試験所としてご利用いただけます。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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国内初! ISO17025認定の半導体EMC規格試験サービスを開始しました!
門真EMCサイトの橋坂です。
ISO/IEC 17025の認定を取得している試験所であれば、どんな試験でも実施できるわけではなく、別途、認定範囲として試験所で対応できる規格が定められていることを皆さんご存知でしょうか。
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ISO/IEC17025の試験所認定とは、運営能力、及び技術能力が
一定以上の要求水準を満たす試験所に与えられるものです。
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今まで当EMCテストラボでは、民生EMC規格(例えば、家電:CISPR14、照明:CISPR15など)については数多くの規格を認定範囲に含めておりましたが、半導体部品や車載機器に関係する規格については含めておりませんでした。
最近、ISO/IEC 17025認定試験所で測定した結果が必要というお問い合わせも多くいただいておりますので、このたび、半導体EMC規格と車載EMC規格につきましても認定範囲に追加し、ISO/IEC 17025認定試験所でのEMC試験サービスのご提供ができるようになりました。
また半導体EMC規格のISO/IEC 17025認定取得は日本初となります!
今回、追加した認定範囲
半導体EMC規格
IEC 61967-1 :エミッション測定の一般条件
IEC 61967-2 :TEMセル法(エミッション)
IEC 61967-4 :1Ω/150Ω法(エミッション)
IEC 62132-1 :イミュニティ試験の一般条件
IEC 62132-2 :TEMセル法(イミュニティ)
IEC 62132-4 :DPI法(イミュニティ)
車載EMC規格
CISPR 25 :放射及び伝導エミッション測定
ISO 11452-2 :アンテナ照射試験
ISO 11452-4 :BCI試験
ISO 11452-8 :アンテナ近接試験
ISO 7637-2 :トランジェントエミッション測定
及びイミュニティ試験(電源線)
ISO 7637-3 :トランジェントイミュニティ試験(信号線)
ISO 16750-2 :電源電圧変動試験
ISO 10605 :静電気放電試験
皆さんお気軽にお問合せ下さい。
認定範囲については下記URLをご確認下さい
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半導体EMC評価(DPI法)で、セット商品のイミュニティが向上
門真EMCサイトの石橋です。
突然ですが、「半導体EMC評価」って皆さんご存知ですか?
これまでのEMC評価では、セット(完成品)での評価が主流でしたが、最近自動車業界等ではデバイス単体での評価(半導体EMC評価)が注目されつつあります。
今回は半導体EMC評価の一つである「DPI法」をご紹介します。
DPI法はDirect Power Injection methodの略で、ICの各端子に容量性結合でノイズを直接注入し、誤動作の有無を確認する評価方法です。IEC 62132-4で規格化されており、近年では欧州を中心に車載機器に対する半導体のEMC評価として要求されつつあります。
この評価のメリットとして
- ICの各ピンに対し、ノイズ耐性を定量化することが可能
- 高い再現性
ことが挙げられます。
最近では、ICの動作電圧が低電圧化しているため、少しの電圧変動が誤動作につながります。
製品レベルでのイミュニティ試験で誤動作の要因がICのノイズ耐性である事例も増えています。
下の図は、半導体の耐ノイズ性の向上により、セット商品の耐ノイズ性も向上した例です。
従来品(赤線)に比べ、ノイズ耐性のある半導体(青線)のほうが、セット商品での評価でも耐ノイズ性が向上していることがわかります。
このように半導体のEMC評価は、デバイスメーカーだけでなく、セットメーカーとしても利用することができる手法になりつつあります。
プロダクト解析センターでは、半導体のEMC評価で欠かすことのできない、標準プリント基板の設計から評価まで一貫してご利用が可能です。
ご希望の方は、お気軽にお問合せください。
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半導体EMC評価における「プリント基板設計」の注意点
電気ソリューション部 電子回路設計課の坂上です。
私共はIEC 61967-1などに準拠した半導体デバイスに対して、プリント基板設計・製作からEMC試験まで、一連のプロセスをサポートしています。
今回は、プリント基板設計についてご紹介いたします。
上記はIEC61967-2に従ってTEM-CELL法を実施する際の試験環境となります。
半導体デバイスは単体では動作しないものもあります。そのような時は、お客様からの仕様に基づき、専用の制御基板も私共で作成いたします。以下の基板では、動作モードの切替や、電源シーケンスの制御を行うために、FPGAを利用しております。
ここでの注意点は、制御基板からのノイズが測定対象となる半導体デバイスに影響を与えないようにすることです。
そのため、半導体EMC評価基板の設計と並行して、制御基板の低ノイズ化、基板間コネクタ選定、およびコネクタピン配検討を行い、必要によりノイズフィルタの追加等も実施しております。
これにより、本来のDUT(測定対象のデバイス)のみのノイズを正しく測定することが可能となります。
このようにプロダクト解析センターでは、半導体EMC評価用の標準基板だけではなく、必要な動作環境も設計していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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携帯電話の電波を模擬した半導体の放射イミュニティ試験
EMC設計・評価チーム/門真EMCサイトの石橋です。
先日ご紹介しました半導体に対するTEMセルのイミュニティでは、最大800V/mの電界を印加することが可能とお伝えいたしました。
では、どのような時にそのような電界強度が発生するのでしょうか?
その一例として挙げられるのは、携帯電話からの電波です。
あるデータによりますと、携帯電話近傍の電界強度は、最大700V/m程度の非常に高い値となることが報告されています。
海外のメーカでは、半導体に対して、このような携帯電話からの電波によるイミュニティ試験を要求する場合があります。
一般のイミュニティ試験の変調方式は無変調かAM変調が主流ですが、今回はGSMと日本国内で主流となっているLTEの変調方式について、TEMセルで再現可能か検討いたしました。
上図のようにTEMセルの天面にモノポールアンテナを取り付け、スペアナで確認した波形が下図(左:GSM、右:LTE)になります。
今回の検討で、携帯電話による電波と同レベルの電界強度を再現できることを確認いたしました。
このような無線機近傍の電界によるイミュニティ評価は、国際規格でも検討がなされており、IEC 61000-4-39(近接放射イミュニティ試験)として規格化が進められています。
半導体のEMC評価は、最終商品の品質向上や対策コストの削減などにつながります。半導体のEMC評価に関してご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。
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半導体のEMC評価(TEMセルを用いたイミュニティ試験)
EMC設計・評価チーム/門真EMCサイトの石橋です。
突然ですが、こちらの写真は何に使うものかわかりますか?
これは、半導体EMC評価用のTEMセルとなります。通常のTEMセルと比べて非常にコンパクトで、天面に10cm四方の基板を固定してイミュニティ評価を行います。
半導体EMC評価用のTEMセルを用いたイミュニティ評価では、TEMセル内部にあるセプタムと固定した基板のGND間に強電界を発生させ、ICのノイズ耐性を確認します。
このTEMセルを使用することで、最大1000V/mまでの強電界を印加することが可能です。
近年では特に、車載機器関係で半導体レベルでのEMC評価のニーズが高まっています。EMC性能に優れた半導体を採用することで、周辺回路やEMC設計を容易にし、製品開発のリードタイムの短縮、EMC対策コストの削減などにつなげることが出来ます。また、市場トラブルの再現手法としても有効です。
評価に使用する基板は、部品配置や層構成などが規格で定められており、半導体個々に適切な基板を設計、製作する必要がありますが、解析センターでは基板設計~実装~評価まで、ワンストップで対応が可能です。
半導体のEMC評価にご関心がおありでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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