気密封止パッケージ中の残留ガス成分の分析(IVA分析)
各種デバイスの小型化に伴い、気密封止パッケージデバイス内に求められる製品仕様も高い封止性能が求められております。試料破壊室に高純度アルゴンガスを充満させた後に気密パッケージの破壊(穿孔)を行い、デバイス中から噴出した残留ガス成分の定量評価(IVA分析:Internal Vapor Analysis)を行います。
このIVA分析により、デバイス内部の封止性能を定量的に評価することができます。
IVA分析の特徴
ガス純化装置を使用し、水分、酸素、ハイドロカーボンをppbレベルまで除去した高純度アルゴンガスを試料破壊室へ導入します。あらかじめ試料破壊室に準備しておいた評価試料(気密パッケージ)表面に吸着したガス成分を脱離させるために、破壊室の外部からベーキングを実施します。試料破壊室が室温に戻った段階で、外部から穿孔具を挿入させて気密封止パッケージの破壊を行います。デバイス内部の残留ガスを純化アルゴンガス内に噴出させることで、ガス成分を四重極検出器でカウントし、別途、定量用標準ガスから算出した感度係数を使用し、残留ガス成分の定量評価を行います。
評価方法の概略
測定ガス種 |
H2O、H2、CH4、O2、CO、CO2 など |
---|---|
デバイスサイズ |
40mm x 40mm x 10mm 以下 |
質量分析計 |
四重極 |
試料破壊環境 |
大気圧 超純化アルゴン |
MEMSパッケージ中の残留ガス分析事例(IVA分析)
下図はパッケージ封止直後のデバイスと信頼性試験後(高温保持、1000時間)のデバイスに対して、パッケージ中に含まれるガス量を計測した結果です。両者ともに150~200sec で穿孔を行っており、その際に残留ガスが噴出している様子がわかります。
IVA分析を行った際の定量結果を下図に示します。信頼性試験後では主に一酸化炭素、二酸化炭素、酸素が検出されていますが、大気に含まれる気体の割合と検出された割合が一致しません。パッケージのリークによるものでは無く、封止パッケージ内部に存在していたデバイスや微量の接着剤成分からの脱離ガスであると推定されます。
水分の検出量に着目した場合、0.1μg/cm3は水分濃度で100ppm(露点:-40℃相当) になります。今回はパッケージ容積が非常に小さいデバイスでの測定結果ですが、パッケージ容積が更に大きいデバイスの場合、1ppmレベルでの水分量を判断することも可能です。
発生ガス重量[μg/cm3]
試料 |
H2O |
H2 |
CH4 |
O2 |
CO |
CO2 |
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初期 |
- |
- |
- |
- |
0.48 |
- |
信頼性試験後 |
0.10 |
0.15 |
0.49 |
1.08 |
2.98 |
3.48 |